今回はSONY MDR-F1をレビューします。
本機は現在絶版ですが1997年の発売以降ロングセラーになったモデルで、独特のフルオープン型という構造のために今なお根強いファンがいるモデルです。
ソニーのヘッドホンの製品コードMDR-の後に「F1」を冠するあたり、どことなく当時のソニーの本気がうかがえるモデルです。
フルオープン型というのは本機独自の方式で、ハウジング側面が完全に開放されており、耳から少し離れた位置にスピーカーをつけたとも言えるような形状です。
以前から気になっていた製品で中古で購入してみましたが、独特の開放感と快適な装着感は噂通りで、長時間装着しても全く苦にならない製品でしたので詳細をレビューしていきます!
販売終了から時間が経過しており、現存品はイヤーパッドがぼろぼろになっているものが多いですが、実はMDR-MA500用互換イヤーパッドが取り付け可能なので、記事後半で交換方法も紹介します。
SONY MDR-F1 製品スペック
メーカ | SONY ソニー |
---|---|
タイプ | フルオープンー開放型 |
重量 | 約200g |
インピーダンス | 12Ω |
コード長 | 3.5m両出しストレートコード |
参考価格 | 25000円(当時価格) |
レビューで使用した製品は中古で、やや年季が入っていますが、玉自体が少ないのと根強い人気もありオークションで約15000円で入手しました。状態の良いものは当時の定価以上の価格になっており人気がうかがえます。
外観はシルバー一色で、古い製品ですが非常にセンスが感じられる製品で、明らかに他のヘッドホンとは異なるフルオープン感が際立つ見た目です。
ハウジングにはマグネシウム合金が使用されているとのことで、200gという軽量さを実現しています。ソニーのヘッドホンはデザイン質感が良いですね。
イヤーパッドは劣化しやすい素材なのか、多くの中古品は写真のように劣化していますが交換前提なので良しとしました。
コードは片出しの3.5mストレートコードで、屋内使用を想定されているためかかなり長めです。普通に使う分にはかなり余ってしまうのが欠点ですが、コードを束ねるテープが付属しているので、これで調整可能です。
SONY MDR-F1 5段階音質レビュー
音質 :
装着感:
遮音性:
音の傾向:フラット(やや低音寄り)
得意な音楽:万能
音場感(音の広がり):◎
音質はかなりフラットですが気持ち低音を重視した味付けです。ただ全体のバランスは悪くなく、フルオープン型ゆえに音の抜けは良好ですが、引き換えに減ってしまう低音の量感を補った印象です。
解像度はそこまで高くなく、やや輪郭がボケる印象で、音質自体は価格を考えると特段良いわけではなく悪いわけでもなくといった感じです。
音の傾向は明瞭さがあるというよりは、耳当たりの良いウォームな聞き心地で、快適なリスニング感です。
音場感はさすがに良好ですが、フルオープン構造で音の抜けが良い一方でハウジング内の音響が無いためか音の立体感は意外にもにもそこまでは感じられませんでした。
ただ特筆すべきは唯一無二の耳のそばにスピーカーがある感覚で、とにかく音が籠る感じがなく開放感が抜群です。ヘッドホンの閉塞感が苦手な人でもヘッドホンの臨場感を感じることができる製品で、根強いファンがいる理由かと思います。
用途としては音楽鑑賞ももちろんですが、長時間でも耳が疲れずかつ軽量で装着感も良好なので、映画視聴やゲームにもかなり良い感じです。
やや音の繊細さには欠けますが、音場の広さからクラシックなども良い感じです。
人昔前に流行ったネックスピーカーとまでは行きませんが、より耳に近いネックスピーカーとも言える製品です。
なお遮音性については想像の通り皆無で、この時期のエアコンの音もしっかり聞こえてしまいます。本機を使用の際には周囲環境にかなり左右されるので、環境音に注意が必要です。
SONY MDR-F1 装着感について
200gという軽量感と、フィット感に優れるイヤーパッドの形状でかなり装着感良好です。側圧も強くないため、眼鏡をつけていて長時間リスニングをしても全く問題ありません。
ただレビューで使用した物が中古だからか、ヘッドバンドを支える紐がやや緩く、多少本体が下にずり落ちてくる感じがありフィット感はややイマイチです。
現在夏ですがフルオープン型なので蒸れとは無縁の快適さなので夏用ヘッドホンとしても重宝しそうです。
SONY MDR-F1 良い点、悪い点
- 良い点
- とにかく開放感に優れた使用感。閉塞感が苦手な方にお勧め
- 耳障りの良い長時間のリスニングに向く音質
- 軽量で、良好な装着感
- 悪い点
- 聞きやすい反面、価格に対し解像度はほどほど
- 遮音性が皆無で音漏れが激しい(フルオープンなので仕方なし)
総評としては音質は価格を考えるとそこまで抜きんでているものは感じませんでしたが、快適さ群を抜いており、根強いファンが未だにいるのも納得の製品でした。
聞き疲れを感じないので、スピーカーを鳴らすようにずっと装着していられるヘッドホンはこれだけではないでしょうか。
イヤーパッドが劣化しやすいのが欠点ですが、イヤーパッドを交換(下記で紹介)すれば末永く使っていけるのでお勧めです。
MDR-F1 イヤーパッドの交換方法
出回っている中古品はほとんどがイヤーパッドが消耗しており、交換用純正イヤーパッドも絶版ですが、実はMDR-MA500用互換イヤーパッドが流用可能でamazonで安価で購入可能です。
左が純正イヤーパッド(ぼろぼろです)に対し左が互換イヤーパッドです。
イヤーパッドは本体に四か所の爪で引っかかっているだけなので、隙間から引っ張れば簡単に取り外せます。
プラスチック製のアタッチメントの溝にイヤーパッドが引っかかっているので外します。
互換イヤーパッドを溝にはめていきます。一気にはめようとすると窮屈なので写真のように少しづつ溝にはめていくと取り付けやすいです。
また互換イヤーパッドは純正よりやや窮屈ですが、取り付け前に手で伸ばすと多少は伸びてはめやすくなります。
取り付けを完了した状態です。
取り付け完了!雰囲気はやや変わりますがぼろぼろのイヤーパッドより見栄えが良くこれはこれで悪くないです。装着感も違和感なく良い感じです!