本機は音楽制作現場での使用を想定したモニターヘッドホンと呼ばれるもので、通常の音楽を聴くためのヘッドホンとは異なり、音を細かく分解する解像度に重きを置かれているタイプの製品です。
主にスタジオや音楽制作現場のプロ用ヘッドホンですが、通常の音楽視聴用としてはどうなのか?本記事でレビューしてみました。
結論としてはモニター用としては期待以上の解像度で申し分無しでしたが、あくまでモニター用のヘッドホンであり、リスニング用途として使うなら、同価格ならより良いものがあるというのが筆者の結論です。下記記事にて詳細をレビューします。
SONY MDR-CD900ST 製品スペック
メーカ | SONY |
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タイプ | ダイナミック密閉型 |
重量 | 約200g |
インピーダンス | 63Ω |
コード長 | 2.5mストレートコード(入力は6.3mmプラグのみ) |
参考価格 | 15000円 |
見た感じは余計な装飾を排して、いかにもプロ仕様といった感じでシンプルです。この価格帯のヘッドホンとしては正直物足りない外見ではあります。
大型のヘッドホンは50mmドライバを採用しているものが多いですが、これは40mmドライバなのでサイズ感は小ぶりで、重量は約200g程度となかり軽量で取り回しが良いです。
イヤーパッドは耳を覆うタイプですが、深さが浅いため半分耳に乗っかるような着け心地で装着中は耳に当たります。フィット感事態はは良好なのですが、完全に耳を覆うオーバーイヤー型のイヤーパッドに比べると装着感は劣ります。
眼鏡をかけている筆者には長時間使用は厳しいので、眼鏡との相性はあまり良くないです。
密閉型なので外の音はある程度シャットアウトされますが、オーバーイヤー型ではないため遮音性はそこまで高くないです。入力は6.3mmステレオプラグのみで、PCやポータブルプレーヤーの3.5mmミニプラグに接続する場合は変換プラグが別途必要です。
SONY MDR-CD900ST 5段階音質レビュー
音質 :★★★★☆
装着感:★★☆☆☆(2.5)
遮音性:★★★☆☆
音の傾向:フラット
得意な音楽:万能
音場感(音の広がり):普通
音質については、業界の定番製品としてで使われているだけで、そこまでではないのでは?とやや斜めにみていましたが、第一印象としては目が覚めるような解像感に驚かされました。
これぞモニターヘッドホンという感じで、音の輪郭がクリアにくっきりと浮かび上がってきます。傾向もかなりフラットでレコーディングされた音を素直に出力してくれています。また録音の状態が悪い音源はこのヘッドホンで聞くと粗が目立つためすぐにわかります。
一方で、抜群の解像度で低音~高音まで全ての音を満遍なく出力してくれますが、モニターヘッドホンの特性として、高音のシャリつく感じが目立ち、全体として乾いた音という印象が強いです。
音場感もこの価格帯のヘッドホンであれば音の広がりを感じさせてくれる製品が多くありますが、本機はあくまでモニター用途なので音の奥行きも特に感じられません。
音の傾向は原音そのままと言えるほどかなりフラットなので、どんなジャンルの音楽も聴けるといえば聞けるヘッドホンですが、ロックやポップスを聞くには迫力に欠けます。
一方、本機は緻密に打ち込まれたシンセサイザーの音を余すことなく拾ってくれるので、モニター用と言いつつも、EDMやテクノポップ等の打ち込み系を聞くには中々良いです。
総評:高解像度でモニター用に最適。リスニング用途には他の選択肢がある
良い点
- 目が覚めるような高解像度
- 音の輪郭や録音の粗を正確に拾うため、モニター用に最適
- フラットで癖のない音質、録音されたそのままの音を聞ける
悪い点
- 解像度は良好だが、やや無機質な音
- 音場感がいまひとつ
- 装着感が良くないため長時間のリスニングに不向き。眼鏡との相性も△
総評としては想像以上の解像度で、モニターヘッドホンとしては十二分な性能です。
ただあくまでモニター用に特化されておりリスニング用のヘッドホンを探しているなら同じ予算ならもっと良い選択肢があります。
例えば下記関連記事で筆者がおすすめする1万円~2万円の価格帯のヘッドホンをまとめています。どれもロングセラーの定番品です。中にはモニター寄りの製品もありますが本機よりは業務用に特化しておらず、リスニング用にも十分使える製品です。
(関連記事)1万円~2万円の価格帯のおすすめのヘッドホン8選
【迷ったらこれ!】一万円~二万円で買えるおすすめ有線ヘッドホン8選【名機】
この価格帯のヘッドホンは、広い音場感を感じさせてくれるものや、元気よく楽しく聞かせてくれるヘッドホン等、各メーカの強みが光るヘッドホンがラインナップされているので、自分の好みに合う製品を探してみるのも面白いです。