どせいです。今回は三万円以上のハイエンドヘッドホン7選を紹介します。
このクラスのヘッドホンはどれも各社の技術の粋を集めたすばらしいヘッドホンが多く、音質面では文句なしですが、あとはどの製品が自分の好みに合うかのが最も重要になってくると思います。
そこで筆者が所有する2-3万円以上の各社ハイエンドヘッドホンについてどんな特徴があるかを比較解説し、おすすめのヘッドホン6選を紹介します。
ハイエンドヘッドホンと言うゼンハイザーHD650が業界のベンチマークと言われるほど定番ですので、本記事でもHD650を基準として紹介しています。
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1.SENNHEISER HD650
本機はハイエンドヘッドホンのベンチマークとも言われる名機で、2004年の発売以降長くオーディオファンに支持されるベストセラーとなっています。(現在は後継機HD660が2017年11月に発売しています。概ね音の傾向はHD650と同じです)
フラットなサウンドを得意とするゼンハイザーらしい自然な音で、フラットながら圧倒的な解像度と必要十分な低音と繊細な高音を兼ね備えており、全体のバランスを崩さないずに元の音楽を装飾しているような感覚を覚えさせてくれる一品です。
色々なヘッドホンのレビューしてきた筆者としても、ハイエンドヘッドホンと言ったらまず本品をお勧めしたくなるほど素晴らしい製品です。
SENNHEISER HD650 製品スペック・外観レビュー
メーカ | Sennheiser ゼンハイザー |
---|---|
タイプ | ダイナミック開放型 |
重量 | 約260g |
インピーダンス | 300Ω |
コード長 | 3.0m両出しコード(着脱可) |
参考価格 | 49800円 |
製品の外観はハウジングの側面がすべてメッシュになっており、独特なドライバ形状が外から見えるのが素敵です。遮音性はほぼ無く、音漏れはしますが室内用のヘッドホンなのでそこは割り切る機種です。
発売から15年以上経ちますが、質実剛健なデザインは古さを感じさせません。
重量は約260gと、重たくなりがちなハイエンドヘッドホンとしては軽量で、HD598の250gから10gほどしか増えていません。ハイエンドヘッドホンながら気負わず気軽に装着できるのが素晴らしいです。
一方インピーダンスは300Ωとかなり高く、音量を確保しにくいです。(参考HD598:50Ω)本機を鳴らすにはヘッドホンアンプが欲しくなるところです。
SENNHEISER HD650音質レビュー(5段階)
音質 :
装着感:
遮音性:
音の傾向:フラット
得意な音楽:万能
音場感(音の広がり、定位感):〇
音質については目が覚めるような音質で、文句なしの5点満点です。音のバランスはフラットですが、持ち前の高解像度で、程よく出る低音と繊細な高音が両立しており、非常に情報量の多い音楽を楽しめます。
ゼンハイザー定番ヘッドホンHD598シリーズは耳障りの良い(ウォーム系な)音のイメージですが、本機はどちらかというと音の明瞭さ、クリアさも感じられ、中々刺激があります。
分解能、解像度も素晴らしく、クラシック、ジャズなどでは生楽器の音の振動を明確に感じられます。
モニターヘッドホン的な情報量の多さと、リスニングヘッドホンの広い音場や快適な装着感を良い所取りをしているような印象です。
向いている音楽は、なんでもOKの万能型ですが、特にクラシック・ジャズのような楽器の生音の表現に優れます。
欠点としては開放型の割に音の抜けが良くなく、音場感はほどほどといった印象です。HD598等のミドルクラスの開放型ヘッドホンに対し、音場感は別格というほどの差は感じられません。(とは言え十分音場感は良い部類です)
総評:HD650の良い点、悪い点まとめ
●良い点
- 抜群の解像度で高音質なサウンド。ミドルクラスのヘッドホンから確実にランクアップできる
- 音質自体も癖が無くフラットなので、どんな音楽も高レベルで再生できる
- ハイエンドヘッドホンながら軽量で快適なつけ心地
●悪い点
- インピーダンスが高く、ヘッドホンアンプが必須
- 側圧がやや強めで締め付け感あり
総評はやはりミドルクラスのヘッドホンとは格が違う製品で、ダメなところはダメと言うのが信条の当サイトでも正直素晴らしいとしか言えないヘッドホンです。
ミドルクラスのヘッドホンから確実にランクアップできるので、ヘッドホン沼の一つのゴール(または次なる入口)として音にこだわるオーディオファンにおすすめです。
個別レビュー記事はこちら↓
【レビュー】 SENNHEISER「 HD650」 HD598とは別格!ハイエンド機の魅力【名機】
2.Beyerdynamic T5p
今回はBeyerdynamicが誇るハイエンドヘッドホン T5p を紹介します。BeyerdynamicのハイエンドヘッドホンというとT1が有名ですが、こちらはT1の密閉型verの製品です。
T1は開放型のヘッドホンに対し、こちらはポータブル用途を意識しているため周囲の音を遮断可能な密閉型で、なおかつインピーダンス(抵抗)もT1の600Ω(ヘッドホンアンプがほぼ必須)からデジタルオーディオプレイヤーでも再生可能な32Ωに変更されています。
Beyerdynamicの技術の粋が結集したテスラテクノロジーという同社の技術が採用された高級ヘッドホンで、圧倒的な音の密度感を誇るヘッドホンです。
Beyerdynamic T5p 製品スペック・外観レビュー
メーカ | Beyerdynamic ベイヤーダイナミック |
---|---|
タイプ | ダイナミック密閉型 |
重量 | 約350g |
インピーダンス | 32Ω |
コード長 | 1.2m (3m延長ケーブル付き)※取り外し不可 |
参考価格 | 58000円 |
密閉型のヘッドホンで、遮音性に優れるタイプです。
ポータブルで使用できるようハイエンド機には珍しくインピーダンスが低い設計で、アンプ等が無くても十分駆動可能です。ただ金属ハウジングのため重量が350gと重く、ポータブル用というよりはT1の密閉型と捉えるのが良いです。
外観は金属感あふれる質感で、高級感があります。またbeyerdynamincのハイエンド機種に搭載されるテスラテクノロジーを搭載しており、高い能率と高音質を両立しています。
Beyerdynamic T5p 5段階レビュー
音質 :
装着感:
遮音性:
音の傾向:フラット(ややドンシャリ 中~高音)
得意な音楽:万能
音場感(音の広がり、定位感):〇
音の傾向はおおむねフラットで、バランスが良い音です。だだこちらはどちらかというと中~高温の切れに特色があります。
特徴としては非常に明瞭な音で、いわゆる暖色系と呼ばれるヘッドホンとは逆に、エッジが聞いており多少聞き疲れのある一方で、キレのある歯切れのよい音を特徴としています。
またテスラテクノロジーの恩恵で音場感も密閉型にしては広く、定位感が良いです。ハウジングの中で密閉型らしい音響感が感じられ、迫力十分です。
基本的には万能なバランスなのでどんな音楽もしっかり聞かせてくれるヘッドホンですが、中~高音の切れが素晴らしく、EDMのような打ち込み系サウンドとの相性は抜群です。打ち込み系が好きな方に特に一押しです。
欠点はやや重たいために装着感が今一つです。イヤーカップが大振りで耳をすっぽり覆ってくれますが、フィット感がそれほどよくないため、重量の多さも相まって多少ズレを感じる印象です。
総評:Beyerdynamic T5p 良い点・悪い点
●良い点
- 解像度が高く、かつとにかく切れのある中~高音を楽しめる。HD650より刺激的
- 音質自体も癖が無くフラットで、万能的
- 密閉型のわりに音場感が良好。臨場感あり
●悪い点
- 重みがあり装着感は今一つ
- 原音忠実性はHD650のほうが良好
総評としては、音質自体は概ねフラットですが、HD650よりややドンシャリ気味でより刺迫力のある音を楽しめます。密閉型ながら音場感も良好で、刺激的な音も相まって臨場感は特筆すべきものがあります。
半面欠点はややドンシャリ気味で原音からは外れるところと、重い重量のため装着感が今一つな点がたまに傷です。様々な音楽を迫力満点に鳴らしてくれますが、特にEDMとの相性は抜群です。
個別レビュー記事はこちら↓テスラテクノロジの詳細についても解説しています。
【レビュー】Beyerdynamic T5p テスラテクノロジーの実力は?
3.Meze Audio 99 Classics
Meze Audioはルーマニアのヘッドホンメーカーで2011年創業のメーカです。
2017年に99Classicsが海外のサイトで密閉型ヘッドホン歴代ベスト10(現行ではなく歴代ベスト!)に選出され、以降世界に知れ渡ることになりました。
特徴的なのは木目のイヤーカップで、天然のクルミ材から一つ一つ削り出されています。
結論としてはレビューの高い期待値をさらに上回るヘッドホンで、音質としては尖っている部類ですが音質、外観共に光るものがあり個人的におすすめのヘッドホンです。
ヘッドホンで聞く音楽はこんなに素晴らしいということを感じさせてくれる一品で、ぜひ聞いてほしい一品です!
Meze Audio 99 classics 製品スペック、外観レビュー
メーカ | Meze Audio メゼオーディオ |
---|---|
タイプ | ダイナミック密閉型 |
重量 | 約260g |
インピーダンス | 32Ω |
コード長 | 3.0m/1.2m(リモコン付き)両出しストレートコード(着脱可能) |
参考価格 | 32800円 |
スペックは密閉型で、遮音性が高いタイプです。重さは260gと見た目の割に軽量です。
インピーダンスは32Ωとポータブルヘッドホン並みの低インピーダンスで、音量も比較的取りやすいため、ヘッドホンアンプが無くても鳴らせる機種だと思います。
外観はウォールナットのイヤーカップに金色のパーツで、購入前はやや派手か?と思いましたが実物を手に取ると素晴らしい質感で、期待以上の外観でした。
実売3万円クラスのヘッドホンではありますが、この質感で3万円という価格が安く感じるほど高級感のある外観です。
Meze Audio 99 classics 5段階レビュー
音質 :
装着感:
遮音性:
音の傾向:低音重視
得意な音楽:ポップス jazz クラシック
音場感(音の広がり、定位感):◎
音質はとにかく圧巻の迫力(音圧)という印象で、前評判から期待値は高かったものの、高評価にも納得の音質です。
特に印象的なのががっつり響く低音で、ハウジングの中に低音のキック感が広がります。低音が目立ちますが、中~高音も低音に負けじと埋もれることなくクリアに響きとにかくメリハリのあるサウンドです。
いわゆるウォーム系と呼ばれる重心が低く、耳当たりの良いサウンドです。
また音場感もかなり良好で、密閉型特有のホールの中にいるような音響感を強く感じさせる機種で、没入感は素晴らしいです。
一方原音忠実かというと明らかに「聞かせに来ている」音で、フラットとは言えないバランスです。解像度という点では音の輪郭はモニターヘッドホン等と比べるとややぼける印象です。
本機については解像度や原音忠実性はさておき、とにかく素晴らしい音づくりと感じさせるインパクトを感じました。
ポップス、ロックも持ち前のウォームな音質で、迫力満点に楽しめます。またクラシックも持ち前の音場の広さで、ホールにいるような感覚で楽しめるので、音質は原音忠実ではありませんが、意外と万能に様々な音楽を楽しめるヘッドホンです。
EDM等も低音の迫力は十分で悪くないですが、一音一音の音に切れががあるというより、やや角が取れている印象なので、もう少しモニター寄りの音の方が合う印象です。
総評:Meze Audio 99 classics 良い点・悪い点
●良い点
- 良く響く低音と、クリアな中~高音を両立した圧巻のサウンド
- 音場感に優れ、ホールにいるような没入感を味わえる
- 価格以上の質感で、高級感を感じさせる外観
- 快適な装着感
●悪い点
- 音質はフラット(原音忠実)ではなくモニター用途には不向き
総評としてはとにかく聞きごたえがあるということに尽きます。原音忠実ではないためモニター用途には向きませんが、良く響く低音に加え、中~高音はクリアに聞こえてくるため全音域が際立っているような感覚です。
見た目もウッドハウジングの高級感が感じられ、かつ装着感も快適ですので筆者的にもかなり気に入っているヘッドホンです。原音忠実ではなくとも、迫力の音を楽しみたい方におすすめです。
個別レビュー記事はこちら↓
【レビュー】Meze audio 99 classics は「買い」噂の一品
4.SHURE SRH1880
本機は高級オーディオで知られるSHUREのハイエンドヘッドホンで、発売から10年ほど経過するロングランモデルです。
結論としては「自然なサウンドで高音質」を売りにするSHUREのハイエンドヘッドホンにふさわしい素晴らしい音質で、お値段張りますがその価値ある製品です。
開放型のハイエンドヘッドホンということで対抗馬のゼンハイザーHD650を強く意識していると思われるモデルで、比較すると音は似通っています。
HD650では今一つだった音場感が素晴らしく、かつ音はすっきりと品がある(迫力はHD650が上)ため、HD650よりクラシックやジャズによりマッチするヘッドホンです。
SHURE SRH1840 製品スペック、外観レビュー
メーカ | SHURE シュア |
---|---|
タイプ | ダイナミック開放型 |
重量 | 約268g |
インピーダンス | 65Ω |
コード長 | 2.1m両出しストレートコード |
参考価格 | 59800円 |
外観はハイエンド機ということもあり、かなり上質なデザインです。各社様々なヘッドホンがありますが個人的に質感、デザインはトップクラスと思います。
公式HPによると、金属製のアーム部はエアクラフト・グレード(航空機グレード)のアルミ合金とのことで、厚みは薄いですが剛性感のあるアームと側面を覆うステンレスメッシュ構造で、ハイエンドヘッドホンとしてはかなり軽量な268gの重量を実現しており、質感と装着感を両立しています。
ただし側面はフルメッシュなので音漏れは盛大で、遮音性は望めず、室内用です。
欠点は、頭頂部のクッションが傷みやすいことで、経年劣化で剥がれてくるものが多いです(SHUREのヘッドホン共通の弱点です)またインピーダンスは65Ωと高くは無いですが、音量は比較的取りづらいためヘッドホンアンプの使用推奨です。
SHURE SRH1840 5段階音質レビュー
音質 :
装着感:
遮音性:
音の傾向:フラット(やや高音寄り)
得意な音楽:万能
音場感(音の広がり、定位感):◎(最高レベル)
音質はかなりフラットで自然な音質です。低音~高音まで非常にバランス良く出ますがどちらかというと低音を抑えて中~高音の見晴らしを良くした印象で、とにかく淀みないクリアな音を出してくれます。
特筆すべきは広い音場感で、フルメッシュハウジングの音の抜けの良さもあり、屈指とも言える音場感です。ここまで明確に音がイヤーカップの中で立体的に響く音場感は中々他のヘッドホンでは味わえない感覚で、本機の魅力の一つです。
フラットな音質とは言え決して退屈感は無く、輪郭がくっきりとした鮮やかな音と広い音場感で、耳ざわりが良いナチュラルな音楽を楽しめます。
本機はモニターヘッドホンと銘打たれてませんが、持ち前の高解像度と自然な音質でモニター的にも十分使える一品です。
得意な音楽は持ち前の自然な音質で、ポップスからクラシックまでどんな音楽でも聴ける万能型ですが、どちらかというとロックより繊細なジャズ、クラシックのほうが持ち味の中~高音の美しさが活きます。
また音の見晴らしの良さと高解像度という観点ではEDM等の打ち込み系の音楽との相性も悪くないです。
総評:SHURE SRH1840 良い点、悪い点
●良い点
- フラットかつ高解像度で自然なサウンド
- 開放型の長所を生かした抜けのある音で、抜群の音場感
- ハイエンド機にしては軽量で良好な装着感
- 高級感があるデザイン
●悪い点
- ヘッドバンドの耐久性に難あり
- 音はあっさり目でやや淡泊
総評としてはとにかくフラットかつ高解像度です。特性はHD650と似ていますが、こちらのほうがややあっさりしています。ただHD650には無い音の抜けの良さが感じられ、音場感に優れています。
使い分けとしては長時間視聴するならHD650と比べてこちらの方がの方が聞き疲れを感じない、かつ装着感も良いので作業用や、ながら作業用に向いています。高級感を感じさせるデザインも◎です。
個別レビュー記事はこちら↓
【レビュー】SHURE SRH1840 SHURE至高の一品。HD650との違いは?
5.TAGO STUDIO T3-01
TAGO STUDIO T3-01は2017年に発売した製品で、一時期品薄状態にもなりましたが今やe-イヤホンの有線ヘッドホンの売り上げ2022年ランキング第一位に輝いています。
数で言うと廉価なヘッドホンは数は売れているようですが、金額ベースでは本機が最も売れたとのこと…
ソニーやゼンハイザーを抜いてプライベートブランド的な製品がここまで売れるのは驚異的で、オーディオファンの注目度の高さがうかがえます。
筆者もようやく入手して聞いてみましたが結論としては最高峰のモニターヘッドホンと言って差し支えない製品です。究極のナチュラルサウンドという触れ込みの通り、原音忠実かつクリアで高解像度な音に圧倒されます。
TAGO STUDIO T3-01 製品スペック 外観レビュー
メーカ | TAGO STUDIO |
---|---|
タイプ | ダイナミック密閉型 |
重量 | 約321g(コード除く) |
インピーダンス | 70Ω |
コード長 | 1.8m両出しストレートコード(着脱可能) |
参考価格 | 59800円 |
種別としては密閉型ヘッドホンで、そこそこの遮音性があるタイプです。
重量はコード除き321gとなかなか重めです。手に取るとずっしりとした重量感があります。
インピーダンスも70Ωと高くはないですが、やや音量が取りづらいため、こちらもヘッドホンアンプが欲しいです
コードはリケーブル可能な直脱可能式で、長さは1.8mと程よい長さです。筆者は所有していませんがTago studio公式でリケーブルが販売されています。
外観は、数多くのヘッドホンを所有してきました筆者としてもか、かっこよい…とほれぼれする質感です。売りは木材を一台一台削り出して作製されたハウジングで明るめの素材が際立ちます。
ちょっとしたインテリアアイテムにもなるレベルの優れたデザインです。
TAGO STUDIO T3-01 5段階音質レビュー
音質 :
装着感:
遮音性:
音の傾向:フラット
得意な音楽:万能
音場感(音の広がり、定位感):〇
音質は「究極のナチュラルサウンド」を目指したという触れ込みのとおり、極めてフラットです。とにかく原音を忠実に出してくれている印象で、低音~高音まで全く癖がありません。
高音がややシャリ付く感じがありますが、この鳴り方はモニターヘッドホンらしい中々エッジの効いた音です。
特筆すべきは解像度の高さで、とにかく「見晴らしの良い音」で非常にクリアです。低音~高音までかなり見晴らしが良く、低音域が高音域を邪魔しているといった感覚は完全に無いです。
また何よりこのヘッドホンの最も素晴らしいところが、モニターっぽい鳴り方ながら、リスニング用ヘッドホンとしても十分使えることです。
モニターヘッドホンは例えば有名なSONY MDR-ST900などは解像度は十分ですが、音場感はイマイチで音楽視聴用としては物足りなさがありました。
一方本機は特性はモニター寄りですが、リスニングヘッドホン並みに音場が広く、クリアーな音が定位感を持って聞こえてくるので、原音忠実ながら退屈感を感じません。
またモニターヘッドホンは装着感がいまいちで長時間つけるのが厳しいものも多いですが、本機は装着感もかなり良いです。
得意な音楽は、持ち前の原音忠実性でなんでも聞ける万能型という感じですが、特にクラシック等の生音を高解像度に楽しむことや、EDM、打ち込み系の一音一音を楽しむ用途に優れます。
総評:TAGO STUDIO T3-01 良い点、悪い点
●良い点
- 原音忠実かつ解像度の高さが際立つ透き通った音質
- 広い音場感と、快適な装着感で音質、実用性ともにモニターヘッドホンの最高峰
- インテリア映えするデザイン
●悪い点
- あくまで原音忠実を突き詰めており(良くも悪くも)特別な刺激は無い
- やや重く、装着時に多少重量感あり
総評としては確実にモニターヘッドホンの最高峰と呼べるヘッドホンでした。
原音忠実性と高い解像度で、モニターヘッドホンに必要な要素を十分に兼ね備えています。
また音場感や、装着感にも優れているのでリスニングヘッドホンとしても十二分に使用できます。安くはない買い物ですので所有欲が満たされるデザインも◎です。
筆者的には余計な味付けが無いサウンドを高解像度で楽しみたい場合(EDMや打ち込み系など)などに出番が多いです。
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【レビュー】TAGO STUDIO T3-01 リスニングもOK!至高のモニターヘッドホン
6.Audio technica ATH-A1000x
ATH-A1000Xはオーディオテクニカの密閉型ヘッドホンのART MONITERシリーズのヘッドホンです。その名のとおり、すべての帯域を正確に鳴らし切るというコンセプトのヘッドホンでモニターにもリスニングにも使用できるヘッドホンです。
現行機種はath-a1000zがあり、旧世代機ではありますが、オーディオテクニカのハイエンド機に位置し、オーディオテクニカが得意とする中~高音の気品にあふれたサウンドが特徴的の機種で、今回比較してみました。
Audio technica ATH-A1000x 製品スペック 外観レビュー
メーカ | Audio technica |
---|---|
タイプ | ダイナミック密閉型 |
重量 | 275g(コード含まず) |
インピーダンス | 42Ω |
コード長 | 3.0mストレートコード(着脱不可) |
参考価格 | 49800円(当時価格) |
密閉型のヘッドホンです。密閉型の割に遮音性はほどほどで、結構周囲の音を拾う傾向です。(逆に閉塞感はすくなめ)
53mm大型ドライバー搭載で、ハウジングのサイズは大きいですが、ハウジングは軽量なアルミニウム製、かつ極細ヘッドバンドで軽量化への意思が感じられ、サイズ感の割には軽量です。
製品の外観は下位機種の900X等と比べると本機は金属がふんだんに使われており高級感はあります。
インピーダンスはこのクラスのヘッドホンとしては低いため、アンプが有ればベストですが、無くても鳴らせる製品です。
Audio technica ATH-A1000x 5段階音質レビュー
音質 :
装着感:
遮音性:
音の傾向:中~高音
得意な音楽:ジャズ、クラシック
音場感(音の広がり、定位感):〇
音質についてはとにかく繊細かつ上品な音です。中~高音の艶やかさは素晴らしく、クラシックやジャズの生音を生生しく再生してくれます。
解像度もクリアな見通しの良い音作りもあってかなり高く、音の輪郭はかなりシャープです。解像度の高さからモニター的にも使えそうですが、音質は原音忠実というより中~高音寄りのためモニター用途にはそこまで適しません。また高音がやや耳に刺さるため曲によってはやや聞き疲れる傾向があります。
中~高音域に寄っているため低域はやや物足りなさはありますが密閉型の恩恵でそこそこの低音の厚みは感じられます。
向いている音楽は圧倒的にジャズ、クラシックで音場の広さも相まってホールの中で聞いているような臨場感を感じられます。
一方ロックやメタルには不向きで、ロックも妙に洗練された品の良い曲に聞こえてしまうほど品の良い音作りに特化している製品です。
装着感は軽量ハウジングと、オーテク得意のウイングサポートで、頭を優しく包み込むような抜群の装着感を誇ります。側圧もゆるく、眼鏡との相性も良好なので長時間装着しても苦になりません。
総評:Audio technica ATH-A1000x 良い点、悪い点
●良い点
- 中~高音の響きに優れ、とにかく繊細かつ上品な音。ジャズ、クラシックは最高
- ホールにいるような音響感と籠り感を感じさせないクリアな音質を両立
- 軽量+ウイングサポートで装着感良好
●悪い点
- 線の細い音でロックやメタルにはとことん不向き
- ジャンルによっては高音が多少刺さる
総評は中~高音を得意とするオーテクらしさが非常に感じられる製品で、オーテク上品サウンドの神髄を味わえる製品と言えます。
ジャズ、クラシックは素晴らしいの一言ですが、ロックやメタルすら上品に料理してしまう意味でジャンルの向き不向きがある製品です。ジャズや、クラシックに特化した中~高音の響きを重視する方に一押しです。
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【レビュー】audio technica ATH-A1000X 上品サウンドの結晶!
7.Beyerdynamic Dt1990pro
本機はbeyerdynamicのベストセラーヘッドホンDT990proの上位機種として発売されたハイエンドヘッドホンです。
特徴としてはDT990proはかなり刺激的なサウンドが特徴でしたが、本機は特筆すべき高い解像度と明瞭なサウンドはそのままに、モニター的要素とリスニング的要素をバランス良く兼ね備えたヘッドホンです。
DT990proの上位機種として見るとかなり綺麗にまとまっているのですが、総合力の高さは段違いで、ゼンハイザーHD650的万能ヘッドホンのBeyerdinamic版を出したイメージで、ヘッドホンの元祖Beyer社の底力を感じられる製品です。
Beyerdynamic Dt1990pro 製品スペック 外観レビュー
メーカ | Beyerdynamic |
---|---|
タイプ | ダイナミック開放型 |
重量 | 約370g(コード含まず) |
インピーダンス | 250Ω |
コード長 | 3.0m片出しコード(着脱可)+カールコード |
参考価格 | 79800円 |
外観はかなり作りがしっかりしておりハイエンド機の風格を感じさせる一品です。側面のメッシュ開放部はきめ細やかな金属メッシュで、ネット上の写真では伝わらないのビルドクオリティの高さが感じられます。
重量は約370gとかなり重量級の部類で、手に取るとずしりと重さを感じられます。着け心地は多少重みを感じます。
インピーダンスは、モニターヘッドホン的な使い方を意識してか250Ωと高く、ヘッドホンアンプが欲しくなる機種です。
Beyerdynamic Dt1990pro 5段階音質レビュー
音質 :
装着感:
遮音性:
音の傾向:フラット(中~高音寄り)
得意な音楽:万能
音場感(音の広がり、定位感):〇
音質はややドンシャリしていたDT990proとは異なり、DT990proと比べるとかなりフラット寄りのモニターライクな音に近づいた印象です。
DT990proの後継機というよりモニターホンの原音忠実さ+高解像度とリスニングホンらしい装飾を感じさせる中間的な立ち位置という意味で、比較対象はゼンハイザーHD650が適切感じました。
音の傾向はフラット傾向ながら低域は気持ち控えめな代わりに中~高音域はかなりキレキレでBeyerdynamicお得意のキレキレサウンドは健在という感じです。
また解像度については文句なしの超高解像度で、明確に音の粒感を感じることができます。音質のバランスの良さと解像度の高さから音質は文句無しの★5です。
一方解像度の高さと中~高音域のキレの良さから多少高音が刺さり聞き疲れする傾向はあります。
音場感については特筆するほどそこまで広い感じはしませんが、ハイエンドヘッドホン基準でも及第点の定位感というところです。
得意な音楽は、クラシックからロックまでどんな音楽も高いレベルで再生してくれる万能機種ですが、本機は特にボーカルの距離感が絶妙でポップスはかなり良い感じです。
総評:Beyerdynamic Dt1990pro 良い点、悪い点
●良い点
- モニターとリスニングの中間的な絶妙なバランスで、原音忠実
- 圧倒的な高解像度
- どんな音楽もハイレベルに鳴らす万能性
●悪い点
- 本体が重く装着感が重め
- 高音の切れが良すぎて多少耳に刺さる
総評としてはBeyer社らしい高解像度なキレキレサウンドはそのままに、名機SENNHEISER HD650を彷彿させる優れたバランスを感じさせる一品でした。
ヘッドホンの元祖であるBeyer社のフラッグシップにふさわしい完成度で、Beyer社のキレのある寒色系の音作りが好きな方に特に一押しのヘッドホンです!
個別レビュー記事はこちら↓
(HD650との詳細な比較と、本機に搭載されているテスラテクノロジーの解説もあります)
【レビュー】Beyerdynamic DT1990pro DT990上位機種?以上の逸品
ハイエンドヘッドホンの特徴比較まとめ
以上、20000円~30000円以上のハイエンドヘッドホン7選を紹介しました。
どの製品もハイエンドヘッドホンと呼ぶのにふさわしいヘッドホンですが、紹介したヘッドホンの特徴をざっくり特徴を下記にまとめました。
2.Beyerdynamic T5p → かなり切れのある明瞭な音。HD650より刺激的な音を楽しめる
3.SHURE SRH1880 → HD650に近いが音の傾向は上品でおとなしめ。音場感や空間表現はHD650よりうまい
4.Meze Audio 99 Classics → 5機種の中で最も音に迫力がある。原音忠実ではないが聞きごたえ抜群
5.TAGO STUDIO T3-01 → モニターヘッドホンらしく最も原音忠実かつクリアな音。音場感、装着感も◎なのでリスニングもOK
6.Audio technica ATH-A1000x →中~高音の艶やかさに特色。高解像度かつ広い音場感でジャズ、クラシックに最適。ロック等には不向き
7.Beyerdynamic DT1990pro →モニターとリスニングの中間的な特徴。暖色系なHD650に対し、クリアで明瞭な寒色系の響き。T5pよりモニター寄り
これらをもう少し細かく比較すると、
(原音忠実性)
T3-01>SRH1880>HD650>DT1990pro>ATH-A1000x>T5p>99 clasiccs
(音圧、迫力)
99classics>T5p>DT1990pro>HD650>T3-01≒SRH1880>ATH-A1000x
(音場感)
SRH1880>T3-01>ATH-A1000x>99classics≒T5p≒DT1990pro>HD650
という感じです。このレベルはどのヘッドホンも素晴らしい音質ですが、比較してみると結構特徴があることがわかります。
筆者的にはHD650かDT1990proがバランスの良さから万人に薦めやすいですが、このクラスのヘッドホンは最終的には自分の好みが全てですので、購入の際参考になれば幸いです!
【関連記事】
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